末期の言葉2002年08月30日 21時42分

 すでに、その声は周囲のものたちには声にはならなかった。しかし小生にははっきりと聞こえたのです。

 「ご免ね、かわいそう、ごめんね、かわいそう」

 そう繰り返し、小生の頭を、か弱い手で撫で続けたのだった。何度も何度も、涙を浮かべながら。。。小生も泣いていた。

 翌日の深夜、小生を起こしたのは、彼女の死を告げる電話だった。静かな寝顔に微笑みさえたたえていた。

 母子感染を最後まで謝り続けた母になんの罪があると言うのか。少女時代の動員工場、ヒロポンのまわし打ちは、いわば強制だった。

 そうして、B型ウイルス性肝硬変の我がいるのだ。母の末期の言葉が未だに耳から離れない。

 「ご免ね、かわいそう、ごめんね、かわいそう」

 今年は母の七回忌。冥福を祈りたい。

※HBV闘病記 http://www.ne.jp/asahi/home/kame/ja/hbv.htm

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