勘違い1999年09月23日 01時32分

 電子計算機製造販売会社が同業他者製品を、同者製品の「模倣」だとして訴えている事案で、考えてしまった。

 現在は、裁判所から「製造および販売を禁止する」仮処分が下っている。被告は全面的に争うとのこと。告訴の内容が、客が同社製品と間違って購入する怖れが有るからと言うのが笑ってしまった。新聞、雑誌などは、どうこねくりかえしても、どれも同じデザインだからといって、新聞を間違って買うだろうか? ロゴまで同じなら、それは偽物だから違法だろうが、ロゴは違うのだ。誰が間違うか。

 電子計算機を買う時に、車を買う時くらいのチェックはするだろうし、また販売店サイドにたてば、いつわって販売すれば違法なんだから、客に違いを説明するだろう。まして、中身はガソリン車と電気自動車の違いくらい違うのだ。自動車という機能においては同じでも中身が全く違う。なら、製造者は自信をもっていていいだろうに、なぜ訴えたのか。製品のコンセプトがデザインだけだったとしたら、寂しいね。

 価格的に不利なら価格を下げればいいじゃないか。そうじゃないなら、自社製品の優れているところを宣伝すべきで、なにやらわけのわからない外国の歌をバックにながして5つの色違い匡体が画面で回っているだけのCMで、どうやって性能を宣伝しているというのだ。ファッションじゃあるまいし、イメージだけで販売しようとするから、類似品に「きれた」のだろうととられてもしかたがない。

 テレビ受像機は、どこのメーカーも黒い匡体の横長型で、メーカーの区別はほとんどつかない。じゃあ、あの形を最初に出したメーカーが他者を訴えただろうか。どこもうったえてはいない。客は実際に受像機を店頭で見て確認してから購入しているからだ。

 なんでもかんでも「まず、訴えて、勝てればもうけもの」的なアメリカ式にはうんざりである。告訴したのはアメリカ大資本で、訴えられたのは、日本の中小企業であるが、かの大資本もかつては小さな会社だったころ、オリジナリティーにこだわる会社だっただけに残念である。