乖離2005年02月28日 10時13分

 平成の大合併が進む中で,歴史的意義および住民意識とはまったく乖離した新市名が相次いで誕生しそうな状況でしたが,さすがにそこまでの馬鹿住民は少なかったのでした。お馬鹿だったのは合併協議を主催している側だったのです。

 南セントレア,中央アルプス,太平洋。。。まあつけもつけたりです。これが住民意識調査を無視した協議会という密室で町長連中が考えだした,お間抜けな市名なのですから,素直には笑えないのです。彼らはいったいどういう意識をもって,こうしたお間抜けな名称を捻り出したのでしょうか。

 住民投票の結果,南セントレア市と中央アルプス市は幻となりました。太平洋市については名称を撤回することになりました。町長たちは町民から選挙で選ばれているわけですから,こういう結果がでることは矛盾しているのです。にも関わらず,どうしてこのようなお間抜けな名称を思いついてしまうのでしょうか。

 郷土愛や歴史の重みといったものよりも,目先の経済優先や真新しさ(=多分にそれは本人の自意識の作る幻想にすぎない)に引かれてのことでしょうか。名前というものは大事なものです。一度つけてしまうと,なかなか改名できるものではありません。それを安易な発想で権力者がつけてしまったら,取り返しがつかないのです。

 過去にも一時期に集中して新しい地名が生まれたり,改名されたことがありました。戦国大名たちが己の居城のある場所を改名した時期です。岐阜,長浜,福井,福岡,熊本,仙台,,,。それらの都市名は,現在では違和感なく受け入れられています。

 たとえ南セントレアが現在は陳腐だからといって,これらの都市名のように馴染まないとは言い切れないでしょうが,そこにはやはり違和感があるのです。それは機微を感じないからです。もの言わぬ多くの住民はそれなりに賢いのです。為政者はそのことを肝に銘ずるべきです。