父が輝いていた頃1998年05月03日 12時00分

2005.7.16 京都 法金剛院の蓮
仲間と笑っている写真の中の青年。
髭を生やした将校と記念撮影の中。
酒宴のつまみは平らげられ、
銚子が転がる旭日旗の前。
学校。労働学校。表彰。勤続者。

机を叩いている青年。
仲間と鉢巻きをして肩を組んで。
綺麗な女性と並んでいる。
すこしすました顔。
親戚が集まって。神社の前。

工場の前。職場の仲間。
完成は急がないと。転勤。
家族が写っている。旅行。運動会。
男盛りの働き盛り。祇園太鼓。

家だ。自分の家だ。
誇らしげな顔。自慢の息子。娘。
議論なら負けない。社会主義。

息子が巣立って行く。娘が嫁いでいく。
キャッチボールをしていた。釣をしていた。
難しい本を買ってきた。
設計図を引いていた。

何を求めて、何をなしてきたのか。
答えは言わなかった。
ただ、柏餅を食べたがっていただけ。

 1998.5.3 亡き父に捧ぐ。